抵当権の効力及ぶ範囲として付加一体物がある。付加一体物とは抵当不動産に付け加えられてその1部となった物をいう。
例えば、建物の増築部分、雨戸、玄関の扉などがそうである。
原則、付加一体物には抵当権の効力が及ぶ。
また、付加一体物と似ているが、従物というものがある。
従物とは、家屋にある畳、物置などのように、独立しているものであるが不動産の利用をよりよくする為に不動産所有者により付属させられたものをいう。
土地と不動産の関係について、それぞれは別々の不動産であり、土地に設定された抵当権の効力は建物には及ばないし、建物に設定された抵当権の効力は土地には及ばない。
果実についても抵当権の効力が及ぶ。果実とは物から生まれる収益のこと。
野菜や果物のように通常の方法で生まれる果実を天然果実といい、地代や家賃のように物の使用対価に対して受ける金銭を法定果実という。
抵当権は、その担保する債権につき不履行があった場合、天然果実・法定果実を問わずその効力が及ぶ。
抵当権により担保される債権の範囲は登記された債権額と満期のきた最後の2年分の利息を限度とし、債権の期限が過ぎて遅延損害金がある場合は利息と併せて2年分を限度とする。
この2年分の制限があるのは、後順位抵当権者や一般債権者の取り分を残しておくため。
このような者がいない場合はこの利息の制限を受けることはなく。全額弁済を受けることができる。
抵当不動産が侵害されたとき、抵当権者は次のような手を打つことができる。
抵当権設定者(債務者)が通常の利用法を逸脱して抵当不動産を損害しようとする場合は、抵当権の被担保債権が弁済期になくても抵当権者はその妨害を排除することができる(妨害排除請求権)。
抵当不動産を不法に占拠する者に対しても、妨害排除請求権を行使することができる。
抵当不動産が侵害され、競売代金が下がり、抵当権者が被担保債権全額の返済が受けられなくなった場合、抵当権者は侵害行為を行ったものに対して、不法行為に基ずく損害賠償請求権を行使することができる。