法律の理解は難しいが、法律的な思考がわかると意外と間単に理解できます。
それは数学的な考え方に似ているかもしれない。
法律を知る上で、その用語や単語の意味が分かることが前提となってきます。ここでは法律の重要な民法のうち主なものを説明しています。
●民法とは
私たちは、生活をしていく上で、常に法律の規制を受けています。この生活には2つに大別する事ができます。
一つは国とのかかわりに関する面、もう一つは個人対個人に関する面です。
それぞれ、公法、私法といいます。
民法は国民生活において、個人の意思を尊重するものであり社会生活のルールであるので、私法の代表的な法律です。
1.契約とは
私的自治の原則は、民法において2つの原理としており、1つは所有権絶対の原則。もう1つは契約自由の原則。
@私的自治の原則
民法において、個人の意思は私的自治の原則を基本としている。
誰もが合理的な判断ができるものと考え、様々な問題の解決を個人の判断にゆだねている。
この私的自治の原則は、2つの原理としてあらわれ、1つは所有権絶対の原則であり、もう1つは契約自由の原則である。
A申込み
例えば、家を買いたいと思い、「この家を売ってください」という申出を法律上は申込みという。
そして、これに応対して、「この家を売りましょう」という応諾を承諾といいます。
このように当事者で申込みと承諾という意思表示が合致することで成立することが契約といいます。
B承諾
例えば、家を買いたいと思い、「この家を売ってください」という申出を法律上は申込みという。
そして、これに応対して、「この家を売りましょう」という応諾を承諾といいます。
このように当事者で申込みと承諾という意思表示が合致することで成立することが契約といいます。
C契約の自由
私的自治の原則である2つの原理のうちの1つが、契約自由の原則です。
当事者の意思表示が合えば口約束であろうが、契約は成立します。書面の作成は成立要件ではありません。
どのような契約でも基本的に自由で、契約方法、誰とするのか、またその内容はすべて個人の自由に任せられています。
これを契約自由の原則といいます。
D契約の拘束力
契約が成立すると両当事者は契約を守らなければなりません。家を買った者は、代金を期日までに支払い、家を売った者は家を引き渡さなければなりません。
当事者は勝手には契約を撤回できず、契約を守らなければ、訴えられたり、損害賠償が請求されたりしてしまうことがあります。
E契約の種類
■典型契約・非典型契約・混合契約
<典型契約(有名契約)>
典型契約には13種類あります。贈与・売買・交換・消費貸借・使用貸借・賃貸借・雇用・請負・委任・寄託・組合・終身定期金・和解の13種類です。
<非典型契約(無名契約)>
典型以外の契約のこと。原則、契約自由の原則の下、決めることができる。
<混合契約>
典型契約をいくつか合わせたような契約のこと。
■諾成契約・用物契約
<諾成契約>
当事者だけで成立する契約のこと。当事者の合意である『申込み』と『承諾』の意思表示がある契約の事で、口約束だけで成立する。
<要物契約>
当事者の合意の他に、物の引渡しがあることによって初めて成立する契約のこと。使用貸借・消費貸借などがある。
■双務契約・片務契約
<双務契約>
当事者が対価的に互いに債務を負担する契約のこと。売買・賃貸借・雇用・請負・組合などがこれにあたる。また、同時履行の抗弁権・危険負担・契約解除などの規定が適用される。
<片務契約>
当事者の片方だけが債務を負担する契約のこと。贈与・消費貸借・使用貸借がこれにあたる。
■有償契約・無償契約
<有償契約>
当事者がお互いに対価的に負担をする契約のこと。例えば、売買契約など。
<無償契約>
当事者の一方だけが負担する契約のこと。贈与・使用貸借などのこと。
F隔地者間の契約
■隔地者間での申込み
<効力発生時期>
申込みとは、相手方に契約を申入れ承諾があれば成立するという意思表示である。
相手方に意思表示が到達した時に効力を生じる。
<撤回の申込み>
申込みは、相手方に到達するまでは効力が発生していないので撤回ができる。しかし、到達すると効力が生じるので、勝手には撤回できない。
また、承諾期間を定めてした申込みは、その期間内は撤回できない。そして、その期間内に承諾の通知を受けない時は、申込みは効力を失う。
承諾期間を定めていない場合は、承諾を受けるのに相当の期間は、撤回できない。相当期間経過後は申込みは効力を失う。
■隔地者間での承諾
承諾とは、申込みを受けた者が申込者に対して契約を成立させるために行う意思表示である。
また承諾の成立時期は、申込みに承諾期間の定めが無い時は、相手方が申込みに対する承諾の通知を発信した時に成立する。
承諾期間の定めがある時は相手方の申込みに対する承諾の通知を発信した時に成立するが、承諾が期間内に申込者に到達しなかった時は、申込みの効力は失われる。
遅れて着いた承諾は、申込者に対して新たな申込みとする事ができます。また、承諾者が変更を加えて承諾した場合、申込みを拒絶して新たに申込みをしたものとみなされ、それを申込者が承諾すると契約は成立する。
承諾の通知が延着した場合、受け取ったものが延着した理由を知っていた時、相手方に延着したことを通知しなければ、延着しなかったものとみなされる。
■第三者のための契約
第三者のためにする契約とは、当事者の一方が、第三者に対してある給付をする契約です。
当事者の自分側を要約者、相手を諾約者、第三者を受益者といいます。契約自体はさまざまな契約が当てはまります。
第三者の権利発生時期は諾約者に対して契約による利益を受ける意思を示したときになります。そして、意志表示後は要約者と諾約者の間で契約が確定し、変更したり出来ない。
また、債務者は同時履行の抗弁権や契約の無効・取り消しなどの主張を第三者にすることができるが、第三者は単なる受益者であり、当事者ではないので、取消権や解除権もない。
G贈与契約
■贈与契約とは
贈与契約とは贈与者が相手側である受贈者に無償で財産を与える契約である。これは当事者の合意に基づく。
贈与者は受贈者に対し、財産移転の義務を負い、受贈者は何も義務を負わない。これは、贈与契約が当事者の一方だけが義務を負う無償・片務契約である。
また、贈与契約は口約束で成立つので、間違いや勘違いなど軽率に約束をしてします恐れがある、そのため、書面によらない贈与契約をしてしまった場合、贈与者・受益者共に撤回ができる。
しかし、すでに履行が終わった部分については撤回できない。
■贈与者の担保責任
贈与者が移転した財産に瑕疵があったとき、贈与者は原則として担保責任を負わない。
与えるだけの贈与者に責任を負わせるべきではないからである。ただ例外もあり、贈与者が瑕疵を知りながら受贈者に黙っていたときや、負担付贈与の場合は担保責任を負う。
■贈与契約の種類
<定期贈与>
毎年、毎月一定のある特定の継続的な契約を定期贈与という。
贈与者、受贈者どちらか死亡すると効力がなくなる。
<負担付贈与>
贈与契約のときに、受贈者に一定の負担義務を負わせる場合を負担付贈与という。通常の贈与と違い、受贈者の負担の限度で、贈与者は売買契約の売主と同様の担保責任を負う。当事者双方が債務を負うので、同時履行の抗弁権・危険負担・解除などの規定が適用される。
2.民法の全体構造
民法を学ぶ上で全体構造を把握しておくことは重要です。しっかり身につけましょう。
民法の全体構造は5つの編から成立っており、第1編が総則(1条から174条の2)まで、第2編が物権(175条から398条の22まで)、第3編が債権(399条から724条まで)、第4編が親族(725条から881条まで)である。
3.実体法と手続法
実体法とは権利や義務の発生・変更・消滅を規定する法です。民法は実体法、憲法や刑法も実体法。
手続法とは権利実現のための手続きを規定する法です。民事訴訟法など。
4.一般法と特別法
一般法とは、対象を限定せずに一般的に定めた法のこと。民法など。
特別法とは、対象を人や地域で限定し、その対象だけに限定して適用される法のこと。借地借家法など。
一般法と特別法では特別法が優先。特別法で一般法を微調整しているような感じです。
5.物権や債権
物権とは、物に対する権利であり、物を支配できる権利である。代表的なものとして、所有権がある。
債権とは、人に対する権利で、ある人に対して請求できる権利である。請求できる人のことを債権者、請求される人のことを債務者という。
物権と債権を財産権という。