法律の理解は難しいが、法律的な思考がわかると意外と間単に理解できます。
それは数学的な考え方に似ているかもしれない。
法律を知る上で、その用語や単語の意味が分かることが前提となってきます。ここでは法律の重要な民法のうち主なものを説明しています。
●債権とは
債権とは債務者に対してある行為をするように要求できる権利のこと。債権者とはこの権利を持っている者をいう。
これに対し、ある行為をするように要求される者を債務者といい、これに応じる義務を債務という。
債権と債務は表裏いったいで、債権者から見れば債権であるものが、債務者から見れば債務である。契約の発生原因には契約や不法行為などがある。
債権は債権者が債務者に対してのみ要求できる権利であり、物権が誰に対しても要求できるとした権利であることと大きく違う。
債権には排他性が無い。原則1つの物の上に同一内容の物権が並存することの無い物権とは大きく違う。
物権と債権が同じ物の上にあるときは、原則物権が優先。
債権は自由に譲渡することができる。制限されているものの中には賃借権などがある。
金銭と金銭以外のも物を求める場合がある。
特定物と不特定物がある。目的物の管理責任(善管注意義務)、危険負担に関して重要。
1.債務不履行
履行というものは、契約に定められた内容に従った行為をいい、債務不履行とは、債務者自信の責任で、債務の履行をしないことである。
債務不履行になると、契約の相手方は損害を受けるので、その損害は償わなければならない。これを損害賠償という。
また、債務不履行を受けた相手方は、債務不履行を理由として契約を解除することもできる。
@債務不履行の種類
■履行遅滞
履行遅滞とは、債務者の故意や過失により契約の期限に遅れてしまうことである。この場合、債権者は、損害賠償請求ができる。また、相当期間の催告の後、契約を解除することもできる。
■履行不能
履行不能とは、債務者の故意や過失により、債務の履行ができなくなることである。債権者は損害賠償請求することができ、解除もできる。
■不完全履行
不完全履行とは、債務の履行はあるのだが、債務者の故意や過失でその履行内容が不完全だった場合である。債権者は債務者から完全な履行がある場合は、履行遅滞に準じ、完全な履行がなり場合は、履行不能に準じ、損害賠償請求ができる。解除もできる。
A債務不履行の効果(損害賠償)
債務不履行の効果として、損害賠償請求権があるが、損害証明がいらないばあいがある。
金銭債務の不履行の場合は、債権者は損害の証明が要らない。また、金銭債務の不履行は常に履行遅滞になる。
B契約の解除(債務不履行)
債務不履行により、損害賠償請求をする場合があるが、それだけで解決ができない場合、契約がはじめから無かったことにしてしまう解決方法を、契約の解除という。
解除の要件は、債務不履行の種類によりことなる。
<履行遅滞による要件>
債務不履行があり、相当な期間の催告が必要である。しかし、履行のないまま相当期間が経過すれば、催告しなくても契約解除できる。
<履行不能による要件>
履行不能があること。また催告は必要がありません。履行が不能なのであるから、催告しても意味が無いからである。
<不完全履行による要件>
完全な履行ができる場合は、履行遅滞の場合と同じ、履行のやり直しができない場合は、履行不能と同じである。
契約が解除されると当事者は原状回復義務を負う。また、契約を解除した場合でも、損害賠償を請求できる。
2.連帯債務
@弁済・代物弁済・供託
債権債務関係は、債務が弁済されると無くなる。連帯債務者の1人が債権者に弁済をすると、連帯債務は消滅し、その効力は他の連帯債務者にも生じる。
代物弁済や供託も同様である。
A請求
債権者が連帯債務者の中の1人に履行の請求をした場合、その効力は他の連帯債務者にも及ぶ。
これにより、他の連帯債務者も請求をされたことになる。
B更改
更改とは、債務の要素を変更し、それによりもとの債権を消滅させ、新たな債権を成立させる契約をいう。
C相殺
相殺とは、当事者がお互いに同種の目的をもつ債務を負担していて、両債務が弁済期にある場合に、当事者の一方がその対等額を意志表示により消滅させることをいう。
この相殺は弁済したのと同じ効果があり、連帯債務者の1人が相殺をすると、これによる債務の消滅は他の連帯債務者にもその効力が及ぶ。
また、連帯債務者の1人が相殺適状にある債務を相殺しないときは、他の連帯債務者はその者の負担部分について相殺をすることができる。
D免除
免除とは、債権者が連帯債務者の1人に対してその債務を免れさせ、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も債務を免れることである。
E混同
混同とは債権と債務が同一人のものになること。
相続や債権譲渡などが原因である。
混同が生じると債権は消滅し、その場合、債務者は弁済をしたものとみなされる。
F時効
連帯債務者の1人が時効を完成すると、その連帯債務者の負担部分について、他の連帯債務者も債務を免れる。
3.保証
保証とは、債務者が債務を履行しないときに、保証人が債務者に代わって債務を履行することを債権者に約束することをいう。保証債務は、主たる債務とは別の独立した債務である。保証債務は債権者と保証人の間で締結される保証契約で決まる。保証債務は、付従性があり、主たる債務に付従する。保証債務は、主たる債務が成立しなければ成立しないが、主たる債務が無効・取消しとなると、保証債務も無効となる。また、保証債務が無効・取消しとなっても、主たる債務は無効とならない。保証債務は、主たる債務より重いものであってはならず、主たる債務よりも重い場合は、主たる債務の内容に減縮される。主たる債務者に対する債権が譲渡されたりすると、保証債務も付随して移転する。債権者が主たる債務者に催告せずに保証人に請求してきたときは、保証人は債権者に対して、まず主たる債務者に対して催告するように主張できる。これを催告の抗弁権という。また、検索の抗弁権も認められる。保障契約は、書面またはその内容を記録した電磁的記録でしなければならない。いわゆる要式契約である。また、保証人は誰でもなることができるが、保証人が必要な場合は、保証人は行為能力者であり、かつ弁済の資力がある者でなければならない。
保証には、普通の保証と、それよりも保証人が重い責任を負う連帯保証がある。
連帯保証は、保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する特約のある保証である。
連帯保証も、普通保証と同じく、付従性・随伴性を有しているが、補充性はない。よって、連帯保証人は催告の抗弁権、検索の抗弁権を有していない。
よって債権者は、主たる債務者に催告をすることなく、また主たる債務者の資力に左右されずに、連帯保証人に対して債務の履行を請求できる。
その成立は、保証契約に加え、連帯であることの特約が必要である。
連帯保証の効力として、分別の利益も有しない。
4.弁済
弁済とは、約束どおりの給付をすることである。
利害関係のある第三者について、たとえ債務者の意志に反していても、債務を弁済することができる。
これに対し、利害関係のない第三者は、債務者の意志に反して弁済することはできない。
弁済は、債権者に対してしなければならない。受領権限のない者に弁済をしても、原則無効である。
また、弁済の時期について、
確定期限があるときは期限の到来した時
不確定期限があるときは期限到来を債務者が知ったとき
期限の定めがないときは履行の請求を受けた時である。
原則、弁済の費用は債務者の負担である。
弁済に代わるものとして、相殺がある。
相殺とは、債権者と債務者が互いに同じ種類の債権を持っているとき、その債権を同じ額の限度で消滅させる一方的な意志表示をいう。
相殺以外のものとして、更改・免除・混同がある。
4.売主の担保責任
担保責任とは、変な契約に巻き込まれた買主に対する責任である。
売主は何の落ち度が無くても担保責任を負う。つまり、無過失責任である。
売買契約の目的物が全て他人の物であった場合(他人物売買は有効である)、買主に目的物を移転しなければならない。
それができないとき、買主は、目的物が他人物であったことについて、善意でも悪意でも、契約解除ができる。
善意の買主は、契約解除を併せて損害賠償請求ができる。
売買契約の目的物の一部が他人物であった場合、その状況に応じて、代金減額請求、契約解除、損害賠償請求ができる。
また、数量不足や一部滅失についても、状況に応じて、代金減額請求、契約解除、損害賠償請求ができる。
物の瑕疵に対する担保責任として、売買の目的物に瑕疵があった場合、売主は買主に対して責任を負う。